ソクタ
トータルステーション、現場では定番の機器ですね。試験では機能と特徴が問われます。角度と距離を同時に測れる点を押さえましょう。
この記事の要点
トータルステーション(TS)とは、水平角・鉛直角・斜距離を1台で同時に測定できる測量機器です。角度を測るセオドライト(トランシット)と、距離を測る光波測距儀を組み合わせた機器です。
トラバース測量や3次元座標の取得など、現代の地上測量のほとんどで使われます。試験では「測定できる値」「GNSSとの違い」「使用できる条件」が頻出テーマです。
「トータルステーションって何が測れるの?」「セオドライトやGNSSと何が違う?」「試験でどう問われる?」初心者が迷いやすい機器の基礎を、この記事で整理します。
トータルステーション(TS)とは、水平角・鉛直角・斜距離を同時に測定できる電子式の測量機器です。
従来は角度を測る機器(セオドライト・トランシット)と距離を測る機器(光波測距儀)が別々でした。トータルステーションはこれを1台に統合したもので、1回の観測で角度と距離が同時に得られます。
測定した水平角・鉛直角・斜距離から、座標差(緯距・経距・高低差)を自動計算できる機種が多く、現代の地上測量の主力機器となっています。
簡単に言えば、角度(水平・鉛直)と距離を1台で同時に計測できる測量機器です。「昔は3種類の機器が必要だった作業を1台にまとめたスイスアーミーナイフ」みたいなイメージです。
トータルステーションが1回の観測で直接測定できる値は、水平角・鉛直角・斜距離の3つです。
水平面内の方向角(基準方向からの角度)を度分秒(°′″)単位で測定します。
トラバース計算では、この水平角から各辺の方位角を求めます。
水平面からの仰角・俯角を度分秒(°′″)単位で測定します。
斜距離と組み合わせて水平距離や高低差を計算するために使います。
機器から目標点(プリズム)までの直線距離をメートル(m)単位で測定します。
斜距離から水平距離・高低差を計算することもできます(TS本体が自動で行う場合が多い)。水平距離=斜距離×cos(鉛直角)、高低差=斜距離×sin(鉛直角)の関係です。
斜距離S・鉛直角θから水平距離H=S cosθ、高低差=S sinθを計算できる
初学者が混同しやすい機器との違いを整理します。
作業規程の準則(下図)では、観測精度の区分が定められています。
| 機器 | 測定できるもの | 特徴 |
|---|---|---|
| セオドライト(トランシット) | 水平角・鉛直角のみ | 距離は別の機器で測定 |
| トータルステーション | 水平角・鉛直角・斜距離 | 1台で角度と距離を同時測定 |
| GNSS受信機 | 3次元座標(衛星測位) | 上空が開けている場所で使用。障害物があると精度低下 |
| 水準儀(レベル) | 高さ(標高差)のみ | 水平視準で標尺を読む。水準測量専用 |
TSはプリズム(反射鏡)を目標点に置いて視準するため、見通しがあれば使えます。一方GNSSは上空が開けていないと精度が落ちるため、市街地・山間部・屋内ではTSが有効です。
トラバース測量(多角測量)では、TSを各測点に順に設置し、隣接する測点への水平角と水平距離を観測します。この観測値から方位角と座標差(緯距・経距)を計算し、各測点の座標を求めます。
TSを使えば、観測と同時にメモリに角度・距離が記録され、座標計算ソフトに取り込んで自動計算することも可能です。
令和5年第5問(正誤:TS多角測量)では、「水平角観測は1視準1読定、望遠鏡正及び反の観測を2対回とする」という選択肢が誤り(正しくは1対回)として出題されています(正答:選択肢2)。TSの水平角観測規定は正誤問題の典型的な出題形式です。
令和3年第7問(正誤:TS水平角観測の誤差)では、「水平目盛盤が水平軸と平行でないために生じる誤差」が誤りとして出題されています(正答:選択肢5)。TSで直接測定できるのは水平角・鉛直角・斜距離の3つで、水平距離は間接値(斜距離×cos鉛直角)であることも正誤問題で問われます。
混同しやすい用語
トータルステーション と セオドライト
セオドライトは角度(水平角・鉛直角)のみ測定します。TSはこれに距離測定機能(光波測距)を加えた機器です。現在の測量ではセオドライト単独はほとんど使われず、TSが主流です。
トータルステーション と ノンプリズムTS
通常のTSはプリズム(反射鏡)が必要ですが、ノンプリズムTSは反射鏡なしで対象物を直接測定できます。立入できない場所の測定に使われます。試験では「プリズムの要・不要」で問われる場合があります。
問題:トータルステーションで直接測定できる値を3つ挙げよ。
答え:水平角・鉛直角・斜距離
この3値が1回の観測で同時に得られることがTSの特徴です。水平距離・高低差はこれらから計算で求める間接値です。
問題:TSとGNSSを比べると、山間部の樹林帯での観測に適しているのはどちらか。
答え:TS
GNSSは上空が遮られると精度が低下します。TSは見通しさえあれば使えるため、樹林帯・市街地ではTSが適します。
問題(令和5年第7問):既知点Aの標高HA=10.000m、器械高iA=1.500m。TSを用いてA→Bの仰角αA=11°00'05"、B→Aの俯角αB=10°59'55"を観測、斜距離S=1,000m、ターゲット高iB=1.600m。新点Bの標高HBはいくらか(sin11°=0.1908)。
答え:HB=200.71m
【手順1】鉛直角の平均=(11°00'05"+10°59'55")÷2=11°
【手順2】高低差h=1,000×0.1908=190.81m
【手順3】HB=10.000+1.500+190.81−1.600=200.71m
TSは水平角・鉛直角・斜距離を1台で同時に測定できる機器です。セオドライトが角度のみだったのに対し、距離測定も統合したことで、トラバース測量や3次元座標取得が1台でできるようになりました。
トラバース測量での計算の流れは以下の記事で詳しく整理しています。
参考法令・規格
※ この記事の確認日:2026年5月
試験での問われ方|ソクタの一言
「トータルステーションで直接測定できるのは水平角・鉛直角・斜距離の3つ」と覚えてください。水平距離・高低差はここから計算した間接値です。「水平距離を直接測定できる」という選択肢は誤りです。この区別が試験でよく問われます。