ソクタ
「経距」と「緯距」、どっちが東西でどっちが南北か、ごちゃごちゃになりませんか?それぞれの意味と座標計算での使い方をここで整理します。
この記事の要点
経距と緯距の違いをトラバース計算の観点から解説します。東西方向の座標差(経距)と南北方向の座標差(緯距)の意味と使い方を整理します。
測量の座標系では、X軸が北方向という数学と異なる設定になっています。
トラバース計算の基本用語「経距」と「緯距」の意味をここで整理します。
緯距(いきょ)とは、測量の平面直角座標系において南北方向(X軸方向)の座標差のことです。
経距(けいきょ)は東西方向(Y軸方向)の座標差です。
平面直角座標系ではX軸が北方向を向いているため、緯距ΔXは「北向き成分」、経距ΔYは「東向き成分」となります。
距離Lと方位角αからΔX=L×cosα、ΔY=L×sinαで計算します。
ザックリ言うと、斜め方向の移動を「東西成分(経距)」と「南北成分(緯距)」に分解する計算です。sin・cosを使ったベクトル分解で、座標の計算で必ず使います。
緯距は平面直角座標系のX座標の変化量です。
測線が北向きに進むとΔXは正(増加)、南向きに進むとΔXは負(減少)です。
方位角αとの関係は「ΔX=L×cosα」です。
方位角0°(北)でcosα=1のためΔXは最大(L)、方位角90°(東)でcosα=0のためΔX=0になります。これは「北に進んだときX座標が最も大きく変化する」という直感と一致します。
問題文の座標系定義を確認してから計算に入る習慣が重要です。
経距は平面直角座標系のY座標の変化量です。
作業規程の準則(下図)では、観測精度の区分が定められています。
測線が東向きに進むとΔYは正(増加)、西向きに進むとΔYは負(減少)です。
方位角αとの関係は「ΔY=L×sinα」です。
2つの量を比較して整理します。
| 項目 | 緯距(ΔX) | 経距(ΔY) |
|---|---|---|
| 方向 | 南北方向(X軸) | 東西方向(Y軸) |
| 計算式 | ΔX=L×cosα | ΔY=L×sinα |
| 正の向き | 北向き | 東向き |
経距・緯距の総和(閉合トラバース)はともにゼロになるはずです。ずれが閉合誤差です。
令和6年第6問(計算:平面直角座標)では、方向角305°00'00"・平面距離1,000mからΔX=L×cos(方向角)、ΔY=L×sin(方向角)を使って点Bの座標を求める問題が出題されています(正答:XB≒−226.42m、YB≒+280.85m、選択肢4)。
経距(ΔY)・緯距(ΔX)の計算式は計算問題の基礎です。緯距ΔXが南北(cosα)、経距ΔYが東西(sinα)という区別と、閉合トラバースでは経距・緯距の総和がそれぞれゼロになることをセットで押さえてください。
混同しやすい用語
緯距(ΔX) ↔ 経距(ΔY)
緯距は南北(X軸)、経距は東西(Y軸)。「緯度は南北方向に変化する → 緯距はΔX(南北)」「経度は東西方向に変化する → 経距はΔY(東西)」と覚えると混同を防げます。(2026-05-22確認)
東西 ↔ 南北(座標系の軸)
測量の平面直角座標系ではX軸が北方向(縦)、Y軸が東方向(横)。一般数学のx軸(横)y軸(縦)と逆なので要注意。
問題:緯距(ΔX)は、平面直角座標系における東西方向の座標差のことである。
〇か×か。
答え:×
緯距は南北方向(X軸方向)の座標差です。東西方向は経距(ΔY)です。
問題:方位角αと距離Lから経距ΔYを求めるには、ΔY=L×sinαを使う。
〇か×か。
答え:〇
測量の座標系ではΔY=L×sinα(東西成分)が成立します。
問題:閉合トラバースでは、全測線の経距の総和と緯距の総和がそれぞれゼロになることが理想である。
〇か×か。
答え:〇
閉合トラバースは出発点に戻るため、経距の合計=0、緯距の合計=0が理論値です。ずれが閉合誤差です。
今回は経距と緯距の違いについて説明しました。
緯距ΔXは南北方向(X軸)の座標差、経距ΔYは東西方向(Y軸)の座標差です。
計算式はΔX=L×cosα、ΔY=L×sinαです。
平面直角座標系ではX軸が北方向という点が数学の常識と異なるため、注意が必要です。
座標差と距離の関係についてはこちらも参考にしてください。
参考法令・規格
※ この記事の確認日:2026年5月
試験での問われ方|ソクタの一言
「緯距は東西方向の座標差である」は誤りです。緯距は南北方向(X軸)の差です。同様に「経距は南北方向の差」も誤り。経距はΔY(東西方向)です。「緯度は南北方向に変わる → 緯距はΔX(南北)・cosα」で覚えてください。(2026-05-22確認)