ソクタ
「後視」と「前視」、どっちがどっちで高さをどうやって求めるのか、最初は混乱しませんか?水準測量の読み取り方と高さの求め方をここで整理します。
この記事の要点
水準測量における後視と前視の違いを解説します。後視は既知点の標尺読み取り、前視は未知点の標尺読み取りです。器械高の求め方と標高計算の手順を整理します。
後視は既知点の標尺を読む操作、前視は標高を求めたい点の標尺を読む操作です。
ここでは器械高の計算式と水準測量の手順での役割を整理します。
後視(こうし・BS:Back Sight)とは、水準測量で標高が既知の点(出発点や水準点)に立てた標尺の目盛りを読む操作のことです。
一方、前視(ぜんし・FS:Fore Sight)は、標高を新たに求めたい点(未知点)に立てた標尺を読む操作です。
この2つの読み取り値を組み合わせることで、次の点の標高を算出できます。
簡単に言えば、後視(BS)は「出発点・既知点の標尺を読む」こと、前視(FS)は「次に標高を求めたい点の標尺を読む」ことです。「ベースキャンプの標高を確認してから次の地点に進む」みたいなイメージです。
水準測量では、まずレベル(水準儀)を既知点と未知点の中間に設置します。
既知点の標尺を読んだ値が後視(BS)、未知点の標尺を読んだ値が前視(FS)です。
計算の流れは次のとおりです。
器械高(IH)= 既知点の標高(H₀)+ 後視(BS)
求める点の標高(H₁)= 器械高(IH)- 前視(FS)
水準測量は、既知の標高をもつ出発点から出発し、レベルを次々に移動(移器)させながら目標点まで標高を「受け渡す」作業です。
水準測量の作業方法は、作業規程の準則(下図)で規定されています。
各器械設置ごとに後視・前視の読み取りが発生します。
移器点(TP:転点)では、その点が「前のステップの前視点」かつ「次のステップの後視点」として機能します。
したがって、TPに置いた標尺は前視で読み終わった後、同じ点を次のステップで後視として読み直すことになります。
用語が似ているため、違いを表にまとめます。
| 項目 | 後視(BS) | 前視(FS) |
|---|---|---|
| 意味 | 既知点の標尺読み取り値 | 未知点の標尺読み取り値 |
| 使う場面 | 器械高を算出するとき | 次の点の標高を算出するとき |
| 試験ポイント | IH = H₀ + BS の式 | H₁ = IH - FS の式 |
器械高(IH)はレベルの視準線の高さであり、後視を読んだ後に計算で求めます。
器械高自体は直接読み取る値ではない点に注意してください。
測量士補の試験では、1級水準測量の観測手順として「後視→前視→前視→後視の順に標尺を読定する」という記述の正誤が問われます(令和2年第10問など)。
「2級水準測量では1級標尺のみ使用できる」「標尺は2本1組で用いる」「往復観測で出発点に立てた標尺は復観測の出発点に使わない」などの規定も合わせて問われます(令和3年第11問など)。
「IH=H₀+BS」「H₁=IH-FS」の計算式は、閉合差・最確値などの計算問題を解くための前提知識です。確実に覚えておきましょう。
混同しやすい用語
後視(BS)と前視(FS)
後視は「後ろ=出発側の既知点」、前視は「前=進行方向の未知点」と覚えると混同しにくくなります。
後視と器械高(IH)
後視は標尺から読み取る実測値、器械高は計算で求める値です。
「後視=器械高」という誤解が多いので注意してください。
問題:後視とは、標高を求めたい未知点に立てた標尺を読む操作である。
〇か×か。
答え:×
後視は標高が既知の点に立てた標尺を読む操作です。未知点を読む操作は前視です。
問題:器械高は「既知点の標高+後視」で求められる。
〇か×か。
答え:〇
IH = H₀ + BS が器械高の計算式です。前視を引くのはこの後、未知点の標高を求めるステップです。
問題:移器点(TP)は、前のステップでは前視点として、次のステップでは後視点として使われる。
〇か×か。
答え:〇
TP は標高を次の器械設置地点に受け渡すための中間点であり、前視と後視の両方の役割を担います。
今回は後視と前視の違いについて説明しました。
後視(BS)は既知点の標尺読み取り値で、器械高を求めるために使います。
前視(FS)は未知点の標尺読み取り値で、未知点の標高を求めるために使います。
計算式は「IH = H₀ + BS」「H₁ = IH − FS」の2本を確実に覚えてください。
水準測量の計算方法(器械高式・昇降式)についてはこちらの記事も参考にしてください。
参考法令・規格
※ この記事の確認日:2026年5月
試験での問われ方|ソクタの一言
「器械高=既知点標高+後視」「未知点標高=器械高-前視」の2式は暗記必須です。
数値穴埋め問題では、IH を先に求めてから FS を引くという手順をしっかり守れば計算ミスを防げます。
移器点(TP)がある多段の問題では、TP の標高を正確に求めてから次のステップに進む習慣をつけましょう。