ソクタ
「オーバーラップ60%」と言われても、どこにどう掛ければいいのか分からない…そんな声が多い計算です。でも、撮影基線長=写真が重ならない部分の幅と分かれば一気に楽になります。順番に整理しましょう。
この記事の要点
撮影基線長とは、隣り合う2枚の空中写真の主点間の地上距離で、写真の重複しない部分の幅と等しくなります。計算は「地上の辺長 ×(1 − オーバーラップ率)」。コース内の重複がオーバーラップ(標準60%)、コース間の重複がサイドラップ(標準30%)です。
撮影基線長は空中写真測量の撮影計画でよく出る計算です。公式を丸暗記すると数字の入れ場所で迷いますが、「重ならない幅」というイメージを持つと手が止まりません。
ここでは用語の区別(オーバーラップとサイドラップ)と、計算の手順を過去問の数値で整理します。
撮影基線長(さつえいきせんちょう)とは、同一コース内で連続して撮る2枚の空中写真の主点(レンズ中心の真下)どうしの、地上での距離です。次に飛行機がどれだけ進んでからシャッターを切るか、という間隔にあたります。
ポイントは、撮影基線長が写真の重複しない部分の幅と等しいことです。重複度(オーバーラップ)が大きいほど重ならない部分は狭くなり、撮影基線長は短くなります。
一言でいうと、「立体視のために写真を重ねて撮るから、次の1枚は“重ねた残り”の分だけ進んで撮る」。その進む距離が撮影基線長です。
空中写真は、立体モデル(ステレオモデル)を作るために必ず重ねて撮ります。重なりの方向で名前が違います。
| 用語 | 重なる方向 | 標準値 |
|---|---|---|
| オーバーラップ(OL) | 同一コース内・進行方向(縦) | 60% |
| サイドラップ(SL) | 隣のコースとの間(横) | 30% |
撮影基線長を求めるのはオーバーラップ(進行方向)、コース間隔を求めるのはサイドラップ(横方向)です。どちらも「地上の辺長 ×(1 − 重複率)」という同じ形で計算できます。
撮影基線長は、次の順で求めます。
① 対地高度 = 撮影高度 − 撮影基準面の標高
② 縮尺分母 M = 対地高度 ÷ 画面距離
③ 地上の辺長 = 画素数 × 素子寸法 × M(基線と平行な辺を使う)
④ 撮影基線長 = 地上の辺長 ×(1 − オーバーラップ率)
①②は地上画素寸法の計算と同じ下ごしらえです。④の「(1 − 重複率)」が“重ならない幅”を取り出す部分にあたります。
実際の過去問の数値で確認します。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 画面距離 | 12 cm(=0.12 m) |
| 短辺の画素数(基線と平行) | 10,000 画素 |
| 素子寸法 | 5 μm(=5×10−6 m) |
| 撮影高度(標高) | 3,000 m |
| 撮影基準面の標高 | 600 m |
| 重複度(オーバーラップ) | 60% |
① 対地高度= 3,000 − 600 = 2,400 m
② 縮尺分母 M = 2,400 ÷ 0.12 = 20,000
③ 地上の辺長= 10,000 × 5×10−6 × 20,000 = 0.05 × 20,000 = 1,000 m
④ 撮影基線長= 1,000 ×(1 − 0.60)= 400 m
よって撮影基線長は400mです。最後の「(1 − 0.60)=0.40」が、写真の重ならない4割の幅にあたります。
① オーバーラップとサイドラップを取り違えない。撮影基線長(進行方向の間隔)に使うのはオーバーラップです。横の隣コースとの間隔はサイドラップで計算します。
② 「(1 − 重複率)」を掛け忘れない。地上の辺長そのままでは「写真1枚の幅」であって、撮影基線長ではありません。重ならない分だけを取り出す掛け算が必要です。
③ 基線と平行な辺を使う。問題文の「画面の短辺が撮影基線と平行」などの指定を読み落とすと、使う画素数を間違えます。
混同しやすい用語
オーバーラップとサイドラップ
オーバーラップは同一コース内・進行方向の重なり(標準60%)。サイドラップは隣のコースとの横の重なり(標準30%)。撮影基線長に使うのはオーバーラップです。
撮影基線長と主点基線長
撮影基線長は地上での主点間距離(m)。主点基線長は写真の上で測った主点間の長さ(mm)。撮影基線長 = 主点基線長 × 縮尺分母 の関係です。
パスポイントとタイポイント
パスポイントは同一コース内の写真をつなぐ点、タイポイントは隣接コース間をつなぐ点。撮影基線長の計算には直接使いませんが、写真測量で並んで問われます。
問題:撮影基線長は、隣接する2枚の空中写真の重複しない部分の幅と等しい。
〇か×か。
答え:〇
撮影基線長=地上の辺長×(1−オーバーラップ率)で、これは重ならない部分の幅にあたります。
問題:撮影基線長の計算に使う重複度は、サイドラップである。
〇か×か。
答え:×
進行方向の間隔である撮影基線長に使うのはオーバーラップです。サイドラップは隣コースとの横の間隔に使います。
問題:地上の辺長1,000m、オーバーラップ60%のとき、撮影基線長は何mか。
答え:1,000×(1−0.60)=400m。
「重複しない幅=地上の辺長×(1−重複度)」を軸に解けます。下ごしらえは地上画素寸法と共通です。
今回は撮影基線長とオーバーラップ・サイドラップについて説明しました。
撮影基線長は「写真の重複しない部分の幅」で、計算は「地上の辺長 ×(1 − オーバーラップ率)」。下ごしらえ(対地高度→縮尺→地上の辺長)は地上画素寸法と共通です。
オーバーラップ(縦60%)とサイドラップ(横30%)の役割を区別し、図を一筆描いてから数字を入れれば確実に取れます。
セットで出る空中写真測量の計算も参考にしてください。
参考法令・規格
※ この記事の確認日:2026年6月
試験での問われ方|ソクタの一言
撮影基線長は、地上画素寸法と同じ「対地高度→縮尺→地上の辺長」の流れに、最後の (1 − 重複率) を足すだけです。2つの計算はセットで覚えると効率的。
本番では、図に「写真2枚を重ねて描く→重ならない幅が撮影基線長」と一筆描くだけで、どの数字をどこに入れるか迷わなくなります。