ソクタ
2枚の空中写真を並べると地形が立体に見えるって、どういう仕組みか不思議に思いませんか?実体視の原理と写真測量での使い方をここで整理します。
この記事の要点
空中写真の実体視とは何かを測量士補試験の視点で整理します。重複撮影した2枚の写真を両目で見ると立体的に見える現象で、実体鏡を使った地形判読に用います。
実体視は、同じ場所を少し違う位置から撮った2枚の写真を両目でそれぞれ見ることで立体感を得る方法です。
ここでは、実体視の仕組みと写真測量での活用方法、実体鏡の役割を整理します。
実体視とは、同一地域を少し異なる位置から撮影した2枚の写真を左右の目でそれぞれ見ることで、立体的(3D)に見える現象のことです。
人間の目は左右2つあり、両眼の視差(位置の差)によって立体感を得ています。
写真測量の実体視はこの原理を応用したもので、2枚の空中写真から地形の高低を視覚的に把握できます。
一言でいうと、重複する2枚の航空写真を両目で同時に見て、立体的に地形を認識する方法です。専用の器械(実体鏡)を使い、まるで3Dの模型を見るように地形を読み取ります。
航空機が同一コースを飛行しながら連続撮影すると、隣り合う写真の間に一定の重複(オーバーラップ)が生まれます。
この重複部分を左目と右目でそれぞれ別の写真から見ると、視差が生まれて立体的に見えます。
重複率(オーバーラップ率)は標準で60%以上とされています。
重複率が大きいほど立体視できる範囲が広くなります。
実際には2枚の写真を目だけで立体視するのは難しいため、実体鏡(ポケットステレオ、鏡面実体鏡など)が使われます。
実体鏡は2枚の写真を左右の目に個別に投影することで、確実に立体視できるようにする器具です。
実体視によって地形の起伏・地物の高低を視覚的に判断できます。
これを写真判読(フォトインタープリテーション)と組み合わせて地形図の素図作成などに活用します。
2つの判読方法の違いを表でまとめます。
空中写真測量の作業方法は、作業規程の準則(下図)で規定されています。
| 項目 | 実体視 | 単独写真判読 |
|---|---|---|
| 使う写真の枚数 | 2枚(重複した写真のペア) | 1枚 |
| 得られる情報 | 立体的な地形(高低・起伏) | 平面的な地物の形・色・パターン |
| 試験ポイント | 実体鏡を使用、重複率が必要 | 立体感なし |
実体視は地形の起伏を立体的に把握するための手法で、単独写真では得られない高さ情報を視覚的に確認できます。
令和2年第17問(写真地図)では、「写真地図は正射投影されているので、隣接する写真が重複していれば実体視することができる」という記述が誤りとして出題されました(正答2: a,dが誤り)。正射変換後の写真地図では実体視はできません。
実体視には中心投影で撮影した重複写真(重複率60%以上)2枚と実体鏡が必要です。正射投影(オルソ変換)後は中心投影の情報が失われるため実体視不可です。
混同しやすい用語
実体視 と 単独写真判読
実体視は2枚の重複写真を使って立体的に見る方法、単独写真判読は1枚の写真から平面的に地物を読み取る方法です。
立体情報が得られるかどうかが最大の違いです。
実体視 と 正射投影
実体視は地形を立体的に見るための作業です。
正射投影(オルソ投影)は空中写真の傾きや地形起伏の変位を補正した処理で、オルソ画像を作成するための処理です。
目的が異なります。
問題:実体視には、同一地域を重複して撮影した2枚の空中写真が必要である。
〇か×か。
答え:〇
実体視は2枚の重複した写真による両眼視差を利用した立体視です。
問題:1枚の空中写真だけでも実体鏡を使えば実体視できる。
〇か×か。
答え:×
1枚だけでは視差が生まれないため実体視できません。実体視には重複した2枚の写真が必要です。
問題:実体視によって地形の起伏を立体的に判読できる。
〇か×か。
答え:〇
実体視の目的は地形の高低・起伏を立体的に把握することです。
今回は空中写真の実体視について説明しました。
実体視は重複撮影した2枚の空中写真を左右の目でそれぞれ見て立体的に地形を把握する手法です。
実体鏡を使うことで確実に立体視できます。
「重複した2枚が必要」「立体的な地形判読」という2点を試験の核として押さえておきましょう。
参考法令・規格
※ この記事の確認日:2026年5月
試験での問われ方|ソクタの一言
「実体視には重複撮影した2枚の空中写真が必要である」は正しい文です。
「1枚の空中写真でも実体視できる」は誤りです。
実体視の必要条件(重複した2枚・実体鏡)をしっかり覚えておきましょう。