ソクタ
「閉合差」「閉合誤差」「閉合比」、どれも似ていて混ざりませんか?この3つは「ずれの成分 → 位置の誤差量 → 精度の比率」という順番でつながっています。その関係をここで整理します。
この記事の要点
閉合差は緯距・経距など成分ごとのずれ、閉合誤差はそれを合成した位置のずれ(m)、閉合比は閉合誤差を全測線長で割った精度の比率(1/N)です。3つは段階的につながっています。
トラバース測量では「閉合差」「閉合誤差」「閉合比」がよく登場します。
似た言葉ですが役割は別です。3つの関係を一度整理すると、計算問題でも正誤問題でも迷わなくなります。
閉合差とは計算で出発点に戻ったときに生じる成分ごとのずれ、閉合誤差とはそのずれを合成した位置のずれの大きさ、閉合比とは閉合誤差を全測線長で割った精度の比率です。
つまり「ずれの中身 → ずれの大きさ → 精度の評価」という3段階の関係になっています。
一言でいうと、閉合差=どの方向にどれだけずれたか、閉合誤差=結局どれくらいずれたか(m)、閉合比=そのずれは測った距離に対して大きいか小さいか(1/N)、です。下にいくほど「精度の良し悪し」を表す指標になります。
閉合差は、計算上の閉合点が出発点(または既知点)と一致しないときのずれの成分です。
トラバース測量では、各測線の緯距・経距を順に足していくと、本来は出発点の座標に戻るはずです。
しかし観測には誤差があるため、緯距の合計にはΔx、経距の合計にはΔyのずれが残ります。このΔx・Δyが緯距の閉合差・経距の閉合差です。
角度についても同様に、観測した角の合計が理論値とずれた分を角閉合差と呼びます。
くわしくは閉合差とは?のページで整理しています。
閉合誤差は、緯距の閉合差Δxと経距の閉合差Δyを合成した、位置のずれの大きさです。
式で表すと、閉合誤差 E = √(Δx² + Δy²) です。
三平方の定理で、x方向とy方向のずれを1つの距離(m)にまとめたものと考えると分かりやすいです。
閉合差が「方向ごとのずれの中身」なのに対し、閉合誤差は「結局どれだけ離れたか」という1つの長さを表します。
トラバースの種類ごとの考え方はトラバース測量の閉合誤差とは?でも解説しています。
閉合比は、閉合誤差を全測線長で割った比率で、測量の精度を表します。
式は、閉合比 = 閉合誤差 ÷ 全測線長 です。結果は「1/N」の形で表すことが多く、Nが大きいほど精度が高いことを意味します。
同じ閉合誤差でも、長い距離を測ったほうが相対的なずれは小さいため、精度評価には誤差そのものではなく閉合比を使います。
くわしくは閉合比とは?のページを参照してください。許容される閉合比や閉合差の具体値は、最新の作業規程の準則で確認します。
3つの指標を並べて整理します。
| 項目 | 閉合差 | 閉合誤差 | 閉合比 |
|---|---|---|---|
| 意味 | 成分ごとのずれ(Δx・Δy・角度) | ずれを合成した位置の誤差量 | 誤差を全測線長で割った比率 |
| 単位 | m(角度は秒) | m | 無次元(1/N) |
| 求め方 | 緯距・経距の合計のずれ | √(Δx²+Δy²) | 閉合誤差÷全測線長 |
| 役割 | ずれの中身を分けて見る | ずれの大きさを1つにまとめる | 精度の良否を評価する |
並べると、閉合差 → 閉合誤差 → 閉合比の順に「計算が進む」のが分かります。閉合差から閉合誤差を求め、閉合誤差から閉合比を求める、という流れです。
正誤問題では、「閉合誤差は緯距・経距の閉合差を合成して求める」「精度評価には閉合比を用いる」といった関係の正しさが問われます。
閉合比は1/Nの分母が大きいほど精度が高いという関係も頻出です。「閉合比1/3000は1/5000より精度が高い」という文は誤りなので注意してください。
計算問題では、Δx・Δyから √(Δx²+Δy²) で閉合誤差を出し、それを全測線長で割って閉合比を求める、という二段階の流れが基本です。
関連する出題例として、トラバース計算では令和7年 No.7(新点の方向角計算)のように方向角を順に求める問題が出ています。また水準測量では令和6年 No.10(1級水準測量)で閉合差の許容値が計算の前提になります。閉合差・閉合誤差・閉合比の考え方は、こうした計算問題の土台になります。
混同しやすい用語
閉合差 ↔ 閉合誤差
閉合差は緯距・経距など成分ごとのずれ。閉合誤差はそれらを合成した位置のずれ(m)。なお試験や実務では両者がほぼ同義で使われる場面もある。
閉合誤差 ↔ 閉合比
閉合誤差は誤差の絶対量(m)。閉合比はそれを全測線長で割った比率(無次元)。精度の比較には閉合比を使う。
問題:閉合誤差は、緯距の閉合差と経距の閉合差を三平方の定理で合成して求める。
〇か×か。
答え:〇
閉合誤差 E=√(Δx²+Δy²) で求めます。
問題:測線長が異なる2つのトラバースの精度を比べるには、閉合誤差の絶対値で比較すればよい。
〇か×か。
答え:×
測線長が違うと絶対量では公平に比べられません。閉合誤差を全測線長で割った閉合比で比較します。
問題:閉合比が1/3000の測量は、閉合比が1/5000の測量より精度が高い。
〇か×か。
答え:×
1/3000より1/5000のほうが分母が大きく、精度が高い評価です。
今回は閉合差・閉合誤差・閉合比の違いを整理しました。
閉合差は緯距・経距など成分ごとのずれ、閉合誤差はそれを合成した位置のずれ(m)です。
閉合比は閉合誤差を全測線長で割った比率(1/N)で、精度の評価に使います。
「成分のずれ → 位置の誤差量 → 精度の比率」という段階で覚えると混同しません。
参考法令・規格
※ この記事の確認日:2026年6月
試験での問われ方|ソクタの一言
3つを「段階」で覚えると混ざりません。成分のずれ(閉合差)→ 合成した大きさ(閉合誤差)→ 距離に対する比率(閉合比)の順です。計算問題はこの順に手を動かせば必ず解けます。逆に正誤問題は、この順番や「分母が大きいほど精度が高い」を入れ替えて誤りを作ってくることが多いです。