初心者が学ぶ測量士補

初心者が学ぶ測量士補
  1. HOME > 水準測量 > 観測誤差と器械誤差の違いは?水準測量での整理

観測誤差と器械誤差の違いは?水準測量での整理

ソクタ

ソクタ

「観測誤差」と「器械誤差」、どっちがどんな原因で生じるか区別できますか?それぞれの性質と対処方法をここで整理します。

この記事の要点

水準測量における観測誤差と器械誤差の違いを解説します。観測誤差は読み取り・環境条件由来、器械誤差は機器の調整不良・製作由来の誤差です。偶然誤差・系統誤差との関係も整理。

観測誤差は読み取りや環境条件から生じる誤差、器械誤差は機器の調整不良から生じる誤差です。

ここでは偶然誤差・系統誤差との関係と水準測量での対策を整理します。

観測誤差(かんそくごさ)とは、測量の観測作業において観測者の読み取りや環境条件(気温変化・風・陽炎など)によって生じる誤差の総称です。

同じ条件でくり返し観測しても大きさと方向がランダムに変わる偶然誤差が主体となります。

一方、器械誤差(きかいごさ)とは、レベルや標尺などの測量機器が完全に調整されていないこと、または製作上の欠陥から生じる誤差です。

同一方向に累積する系統誤差となりやすく、調整や補正で軽減できます。

水準測量の記事一覧

簡単に言えば、機械のわずかな傾きのクセによる誤差の話です。難しそうに聞こえますが、解決策は「前後の標尺までの距離を同じにするだけ」です。それだけで誤差が自然に打ち消し合います。

偶然誤差と系統誤差の違い

誤差の分類には「偶然誤差」と「系統誤差」という大きな枠があります。

偶然誤差(ぐうぜんごさ)は、観測のたびに大きさと符号がランダムに変わる誤差です。

同じ点を何度も観測して平均を取ることで軽減できます。

観測誤差の多くは偶然誤差に分類されます。

系統誤差(けいとうごさ)は、一定の方向・大きさで累積する誤差です。

器械誤差のように原因が明確なものは、補正計算や観測方法の工夫(前後距離をそろえるなど)で消去・軽減できます。

水準測量での主な誤差の原因と対策

水準測量で生じやすい誤差を原因ごとに整理します。

水準測量の点検調整の許容範囲は、作業規程の準則(下図)で定められています。

作業規程の準則 水準測量 点検調整の許容範囲テーブル
出所:国土交通省「公共測量 作業規程の準則」p.33 水準測量の点検調整の許容範囲テーブル

視準線の傾斜(器械誤差)

レベルの視準線が完全に水平でない場合に生じます。

前後の視準距離をそろえることで消去できます。

標尺の傾き(観測誤差)

標尺を鉛直に保持できていない場合に生じます。

読み取り値が真値より大きくなります。

気温変化による標尺の伸縮(器械誤差)

特に木製標尺では温度変化で長さが変化します。

インバー標尺の使用で軽減できます。

陽炎・気流による読み取りの乱れ(観測誤差)

気温が高い日中の観測で発生しやすく、早朝・夕方の観測が有効です。

観測誤差と器械誤差の比較

2つの誤差の特徴を比較します。

項目 観測誤差 器械誤差
原因 読み取り・環境条件 機器の調整不良・製作欠陥
誤差の性質 主に偶然誤差(ランダム) 主に系統誤差(累積する)
対策 繰り返し観測・平均化 機器調整・前後距離を均等に

試験では「この誤差は偶然誤差か系統誤差か」という判断が求められることがあります。

上表の分類を参考に整理してください。

試験で問われやすいポイント

測量士補の試験では、系統誤差と偶然誤差の定義の違いが穴埋め問題として問われます(令和4年第3問など)。「条件が変わらなければ大きさと符号が一定→系統誤差」「原因不明または消去できない→偶然誤差」という対応を確認してください。

水準測量で前後の視準距離をそろえることで消去できるのは「視準線誤差・球差」という系統誤差です(令和4年第11問など)。前後視距離を等しくしても偶然誤差は消去できません。

「観測を繰り返して平均を取ることで軽減できる誤差は偶然誤差」という対応関係も試験で問われます。

混同しやすい用語

観測誤差と器械誤差

観測誤差は人と環境が原因、器械誤差は機器が原因です。

「誰・何が誤差の発生源か」で区別しましょう。

偶然誤差と系統誤差

偶然誤差はランダムで平均化で軽減、系統誤差は一定方向に累積し原因特定で補正できます。

「規則性があるか」が区別のポイントです。

試験での問われ方|ソクタの一言

「前後の視準距離を等しくすることで消去される誤差は系統誤差(器械の傾斜・球差・気差)」という記述が正しいかどうかを問う問題が多いです。

偶然誤差はこの方法では消去できないことも合わせて確認してください。

標尺の傾きによる誤差は観測誤差に分類され、読み取り値が真値より大きくなるという方向性も押さえておきましょう。

一問一答

問題:器械誤差は、観測を繰り返して平均を取ることで完全に消去できる。

〇か×か。

答え:×

繰り返し観測と平均化で軽減できるのは偶然誤差です。器械誤差(系統誤差)は原因特定と機器調整・観測方法の工夫で対処する必要があります。

問題:標尺が鉛直でなく傾いている場合、読み取り値は真値より大きくなる。

〇か×か。

答え:

標尺が傾くと視準線が当たる位置が実際よりも高くなるため、読み取り値が大きくなります。これは観測誤差の一種です。

問題:気温の上昇による陽炎は、水準測量の観測精度に影響する可能性がある。

〇か×か。

答え:

陽炎が発生すると標尺の像が揺れて正確な読み取りが困難になります。気象条件による観測誤差の一例です。

まとめ

今回は観測誤差と器械誤差の違いについて説明しました。

観測誤差は主に偶然誤差(ランダム・平均化で軽減)、器械誤差は主に系統誤差(累積・補正で軽減)です。

水準測量では前後の視準距離をそろえるなど、誤差の発生を抑える観測方法の工夫が精度管理の基本です。

球差と気差(器械誤差の代表例)についてはこちらの記事も参考にしてください。

水準測量の記事一覧

参考法令・規格

  • 測量法(昭和24年法律第188号)
  • 公共測量作業規程の準則(国土交通省)第3章 水準測量
初心者が学ぶ測量士補 編集部

この記事を書いた人

初心者が学ぶ測量士補 編集部

測量士補試験の用語・計算・法規を、国土地理院の公式情報と作業規程の準則に照らして整理しています。

Topへ >>

  1. HOME > 水準測量 > 観測誤差と器械誤差の違いは?水準測量での整理