ソクタ
基準点の真上に機器を立てられないとき、そのままでいいの?と思いませんか?偏心補正の必要性と計算の仕組みをここで整理します。
この記事の要点
偏心補正とは何かを解説します。観測点と目標点がずれている場合に必要な偏心補正の意味、偏心距離・偏心角を使った補正の考え方を整理します。
基準点標識の中心に器械や目標を正確に設置できないことがあります。
その「偏心」が生じたときの補正計算の意味と手順をここで整理します。
偏心補正とは、器械(セオドライトなど)や目標(反射プリズムなど)の位置が基準点標識の中心とずれている(偏心している)場合に、そのずれ量を考慮して観測値を補正する計算のことです。
基準点測量では、測量標識(金属標)の中心を「点の位置」として扱います。
しかし、樹木・構造物などの障害で器械を標識の真上に設置できない場合や、目標にプリズムを標識の真上に設置できない場合があります。
この状態を「偏心」といい、偏心した観測値から標識中心間の正確な方向・距離を求めるための補正が偏心補正です。
ザックリ言うと、本来測りたい点に障害物などがあって直接観測できないとき、近くの別の点を観測してズレを補正する技術です。「直接見られない場所の座標を計算で求める」作業です。
偏心には2種類あります。
器械偏心は器械(セオドライト)を標識中心からずらして設置した場合、目標偏心は目標(プリズム)を標識中心からずらして設置した場合です。
どちらも偏心距離(ずれた距離)と偏心角(偏心方向を示す角度)を観測することで補正できます。
偏心補正の計算手順は、偏心距離・偏心角から実際の標識中心間の方向角と距離を求める三角計算によります。
基準点測量の現場では、測量標識の真上に器械を立てられないケースが出てきます。
作業規程の準則(下図)では、観測精度の区分が定められています。
例えば一等三角点の標石が塀の内側にある場合や、目標の三角点が藪の中にある場合などです。
このような場面で偏心観測と偏心補正が必要になります。
偏心補正と閉合誤差の配分(平均計算)はどちらも観測後の「補正」にあたりますが、目的が異なります。
| 項目 | 偏心補正 | 閉合誤差の配分(平均計算) |
|---|---|---|
| 目的 | 器械・目標の位置ずれを補正 | 観測誤差を各測点に配分(コンパス法則など) |
| 使う値 | 偏心距離・偏心角 | 閉合誤差・測線長 |
| タイミング | 偏心が発生した観測時 | 点検計算後の平均計算時 |
偏心補正は位置ずれの補正、閉合誤差の配分は観測誤差を各測点に分けて座標を調整する計算です。
令和4年第7問(計算:偏心観測)では、既知点Bから既知点Aへの視通が確保できないため偏心点Pを設けて観測した場合に、実際の水平角Tを求める問題が出題されています(偏心距離e=2.70m、既知点間距離S=1,500m、偏心角Φ=210°00'00"、観測水平角T'=50°41'00"、正答:選択肢5・50°38'00")。
偏心補正量の計算式は補正量=(e÷S)×ρ″×sin(Φ)で、求めた補正量(3')を観測水平角から差し引いて正しい水平角を求めます(T=50°41'00"-3'=50°38'00")。偏心距離・偏心角の両方が必要であることも覚えておきましょう。
混同しやすい用語
偏心補正 ↔ 閉合誤差の配分
偏心補正は器械・目標の位置ずれを補正する計算。閉合誤差の配分(平均計算)は観測で生じた閉合誤差をコンパス法則などで各測点に分ける計算。別物。
偏心距離 ↔ 偏心角
偏心距離は標識中心から器械(または目標)までの距離、偏心角はその方向を示す角度。両方が偏心補正計算に必要。
問題:偏心とは、器械または目標の位置が測量標識の中心と一致していない状態のことである。
〇か×か。
答え:〇
偏心の定義です。器械偏心と目標偏心の2種類があります。
問題:偏心補正を行うためには、偏心距離と偏心角の両方が必要である。
〇か×か。
答え:〇
偏心補正の計算では偏心距離(ずれた量)と偏心角(ずれた方向)の両方を使います。
問題:偏心補正は、トラバース測量の閉合誤差を各測点に配分する計算のことである。
〇か×か。
答え:×
閉合誤差を各測点に配分するのは平均計算(コンパス法則など)です。偏心補正は器械・目標の位置ずれを補正する別の計算です。
今回は偏心補正について説明しました。
偏心補正は、器械や目標が測量標識の中心とずれている場合に、そのずれ(偏心距離・偏心角)を使って正確な標識中心間の方向・距離を求める補正計算です。
平均計算での誤差配分とは異なります。
点検計算と平均計算の流れについてはこちらも合わせて確認してください。
参考法令・規格
※ この記事の確認日:2026年5月
試験での問われ方|ソクタの一言
「偏心補正は観測誤差を配分する計算である」は誤りです。偏心補正は位置のずれ(器械や目標が標識中心にない)を補正する計算です。平均計算での誤差配分とは別の作業です。この区別は問題文をよく読めばわかりますが、用語だけで判断すると間違えやすいです。