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マルチパスとは?GNSS測量で電波が反射するときの誤差と対策

ソクタ

ソクタ

マルチパスは反射波が測定を邪魔する誤差です。どんな場所で起きやすいか・どう対策するかが試験のポイントです。

この記事の要点

マルチパスは、衛星から届く電波が建物・地面・急斜面などに反射して、直接波と反射波が混ざって受信機に届く現象です。

受信機は「直接届いた電波」と「回り込んで届いた電波」を区別できないため、距離の計算がずれて誤差が生じます。RTK測量・スタティック測量どちらにも影響し、上空視界の確保が主な対策です。

この記事で整理すること

マルチパスがどうやって誤差を生むのか、どんな環境で起きやすいのか、サイクルスリップとの違いは何か。この3点を中心に見ていきます。

山の中で大声を出すと、山彦(やまびこ)として返ってくることがあります。あれは音が山の斜面に反射して戻ってくるからです。

GNSS測量の電波でも、似たことが起きます。衛星からまっすぐ届くはずの電波が、途中で建物や地面に当たって反射し、回り道をして受信機に届く。これがマルチパスです。

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ザックリ言うと、衛星電波が建物や地面に反射して届く現象です。直接届いた電波と反射してきた電波が混ざり誤差になります。ソクタは「やまびこが混ざって本当の声の距離より遠く聞こえてしまう」みたいなイメージをしています。

なぜ誤差が生まれるのか

受信機は「衛星からの電波が届くまでの時間(または波の数)」を使って距離を計算しています。

直接届いた電波は衛星からの最短距離を伝わってきます。ところが反射した電波は遠回りをしているので、少し遅れて届きます。この「直接波と反射波が混ざった状態」で距離を計算すると、本来より少し長い距離として計算されてしまいます。

その結果、実際の位置からずれた座標が出力されます。マルチパスによる誤差はcm〜m級になることもあり、精密な測量では無視できない誤差要因です。

発生しやすい環境

マルチパスは「電波が反射しやすい物体が近くにある」ときに起きやすいです。具体的には次のとおりです。

  • 高層ビルが密集した都市部(いわゆるアーバンキャニオン)
  • 金属製の構造物(橋梁・鉄塔・フェンス)の近く
  • 水面や湿った地面の近く(反射しやすい)
  • 急斜面や崖の近く

逆に、開けた場所(平野や海上)ではマルチパスは起きにくい環境です。

また、仰角(地平線からの角度)が低い衛星からの電波は、地面近くを通ってくるため反射しやすく、マルチパスの影響を受けやすいとされています。低仰角の衛星を観測から除外するカットオフ角を設定するのもこのためです。

サイクルスリップとの違い

マルチパスとサイクルスリップは、どちらもGNSS測量の精度を下げる誤差要因ですが、仕組みが異なります。

項目 マルチパス サイクルスリップ
原因 電波の反射・回り込み 電波の遮断・途切れ
影響の出方 距離の計算が継続的にずれる 波の数え方が突然とびとびになる
検出 難しい(常時混在) 解析ソフトで検出可能
主な発生場所 建物・水面・金属構造物の近く 樹木・建物による信号遮断

対策:基本は測点選定と上空視界の確保

マルチパスを完全に防ぐことは難しいですが、影響を小さくする方法はあります。

まず測点を選ぶ段階で、周囲に反射物が少ない場所を選ぶことが基本です。やむを得ず反射物の近くで観測する場合は、観測時間を長めにとって複数の衛星配置で平均をとる方法も有効です。

また、マルチパスを低減する設計のアンテナ(チョークリングアンテナなど)を使う方法もあります。低仰角の衛星を観測対象から外すカットオフ角の設定も、マルチパス対策の一つです。

混同しやすい用語

マルチパス ↔ サイクルスリップ

マルチパスは「反射波が混ざる」現象、サイクルスリップは「波の数え方が突然ずれる」現象です。どちらも誤差の原因ですが、発生メカニズムが違います。試験では「どちらがどんな原因か」を問われることがあります。

マルチパス ↔ DOP

DOPは衛星の配置が精度に与える影響の指標、マルチパスは電波の反射による誤差です。どちらも「精度に影響する要因」ですが、別の話です。

試験での問われ方|ソクタの一言

「マルチパスは建物のない開けた場所では発生しない」。おおむね正しいです。マルチパスは反射物が近くにある環境で起きやすい現象なので、周囲に障害物のない場所では影響は小さくなります。逆に「都市部や金属構造物の近くでは注意が必要」という点を押さえておきましょう。

一問一答

問題:マルチパスとは、衛星からの電波が建物や地面などに反射して受信機に届く現象であり、GNSS測量の誤差要因になる。〇か×か。

答え:

直接波と反射波が混ざることで距離の計算がずれます。

問題:マルチパスの影響を減らすためには、周囲に反射物が少ない開けた測点を選ぶことが有効である。〇か×か。

答え:

反射物が少ない環境を選ぶことが基本的な対策です。

問題:マルチパスとサイクルスリップは同じ原因で発生する。〇か×か。

答え:×

マルチパスは電波の反射、サイクルスリップは電波の遮断が原因で、発生メカニズムが異なります。

まとめ

今回はマルチパスについて整理しました。

マルチパスは衛星からの電波が建物や地面に反射して回り込み、直接波と混ざって受信機に届く現象です。距離の計算がずれるため測量精度が下がります。

建物の密集した都市部や金属構造物の近くで起きやすく、測点選定の段階から意識することが対策の基本です。マルチパスは電波の反射が原因、サイクルスリップは電波の遮断が原因。この違いを覚えましょう。

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参考法令・規格

  • 測量法(昭和24年法律第188号)
  • 公共測量作業規程の準則(国土交通省)第7章 GNSS測量
初心者が学ぶ測量士補 編集部

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初心者が学ぶ測量士補 編集部

測量士補試験の用語・計算・法規を、国土地理院の公式情報と作業規程の準則に照らして整理しています。

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