ソクタ
「空中写真で、高いビルや塔が外側へ倒れて写るのはなぜ?高さってどう計算するの?」と引っかかっていませんか?これは比高による像のずれです。式の意味と単位のそろえ方を、過去問の数値で確かめましょう。
この記事の要点
空中写真で高い地物が外側へ倒れて写るのは、比高による像のずれ(レリーフ変位)です。ずれの量は Δr=h・r/H、地物の高さは h=Δr×H÷r で求めます。h=比高、r=主点(鉛直点)からの距離、H=撮影高度です。式の意味と単位のそろえ方を、過去問の数値で検算します。
鉛直に撮った空中写真でも、高い地物は真上から見たようには写りません。高いビルや塔は、写真の中心から外側へ倒れこむように写ります。
この「倒れこみ」の量を使うと、地物の高さを計算できます。ここでは式の意味と使い方を整理します。
空中写真は、レンズの1点を通して地表を写す「中心投影」です。そのため、写真の中心(鉛直点)から離れた場所にある高い地物ほど、その先端が外側へずれて写ります。
このずれが比高による像のずれ(レリーフ変位)です。地図のように真上から見た「正射投影」ではないために起こります。
簡単に言えば、写真の端のほうに立っている高いものほど「外側へ倒れて」写る、という現象です。真ん中(鉛直点の真下)に立っているものは倒れません。
比高による像のずれ Δr は、次の式で表されます。
Δr = h・r / H
地物の高さ h を求めたいときは、この式を変形してh = Δr × H ÷ r を使います。
引っかけになりやすいのが r の取り方です。r は写真の主点(鉛直点)から測った距離で、地物の根もとではなく先端の像までの距離を使います。また、Δr と r は写真上の長さなので同じ単位にそろえ、撮影高度 H を m のまま使えば、高さ h は m で求まります。
平成28年No.19では、鉛直空中写真に写った高塔の像から高さを求めます。
条件=像のずれ Δr=9.5 mm、主点距離 r=7.6 cm(=76 mm)、撮影高度 H=1,800 m。
h = Δr × H ÷ r = 9.5 × 1,800 ÷ 76 = 225 m
Δr と r をどちらも mm にそろえ、H は m のまま計算すると、高さが m で出ます(公式の正答と一致)。
逆向きの例:高さ40 mの建物が、主点距離80 mm・撮影高度2,000 mの位置に写ると、ずれは Δr=40×80÷2,000=1.6 mm になります。
このずれがあるため、空中写真は地図のようにそのまま重ねて使えません。オルソ画像は、DEMなどを使ってこの比高によるずれを補正し、真上から見た正射投影に直した画像です。
「空中写真はそのままで地図と同じように距離・面積を測れる」とする記述は、この像のずれを無視しているため誤りになります。
混同しやすい用語
主点距離 r と 地物の根もとの位置
r は主点(鉛直点)から地物の先端の像までの距離です。根もとの位置ではありません。
鉛直点の真下(r=0)にある地物は倒れず、端にあるほどずれが大きくなります。
比高による像のずれ と オルソ画像
像のずれは中心投影で起こる現象、オルソ画像はそのずれをDEMで補正して正射投影に直したものです。
オルソ画像ではこのずれが取り除かれています。
問題:鉛直空中写真では、高い地物は写真の中心(鉛直点)に近いほど大きく倒れて写る。
○か×か。
答え:×
像のずれは Δr=h・r/H で、主点距離 r に比例します。中心(r=0)ではずれず、端にあるほど大きく倒れます。
問題:像のずれ Δr=9.5 mm、主点距離 r=76 mm、撮影高度 H=1,800 m のとき、地物の高さは幾らか。
答え:225 m
h=Δr×H÷r=9.5×1,800÷76=225 m。Δr と r を mm にそろえ、H は m のまま計算します。
問題:オルソ画像は、比高による像のずれを補正して正射投影に直した画像である。
○か×か。
答え:○
オルソ画像はDEMなどを使い、比高によるずれを補正した正射投影の画像です。
今回は比高による像のずれ(レリーフ変位)を整理しました。
高い地物が外側へ倒れて写るのは中心投影だからで、ずれは Δr=h・r/H、高さは h=Δr×H÷r で求めます。r は主点からの距離、Δr と r は単位をそろえるのがポイントです。
このずれを補正したものがオルソ画像、という関係もあわせて押さえておきましょう。
関連する論点は下記で確認してください。
この論点が出た過去問は下記で解けます。
参考
※ この記事の確認日:2026年6月
試験での問われ方|ソクタの一言
計算では「式の変形」と「単位のそろえ」で差がつきます。
高さは h=Δr×H÷r。Δr と r の単位をそろえ忘れると桁がずれます。
正誤問題では「高い地物は内側へ倒れる」「鉛直点でもずれる」「オルソ補正後もずれが残る」はいずれも誤りです。外側へ倒れる・端ほど大きい・オルソで補正、と押さえましょう。