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令和元年 午後 No.2の解説です。問A〜Cは基準点測量・セミ・ダイナミック補正(令和4年 No.2とほぼ同じ流れ)なので、この記事では計算の山場である問D(1級水準測量)を扱います。水準の較差・環閉合差の点検と、最小二乗(網平均)で新点の標高を決める計算が問われます。
既知点A・Bと新点S・Tからなる水準路線で1級水準測量を実施。観測高低差・観測距離が表で与えられ、次を答える。
問D-1 検測(A→P・B→Q・B→R)の較差が許容範囲内か確認(許容=2.5mm√S)。問D-2 環閉合差(A→S→T→A、B→S→T→B)が許容範囲内か確認(許容=2mm√S)。問D-3 観測方程式と重みから、最小二乗で新点S・Tの標高を決める(ア〜コ)。
出典:国土地理院ウェブサイト「測量士・測量士補試験の試験問題及び解答例」(令和元年 測量士試験 午後 No.2 問D)。問題文・数表は要約。数値は公表資料で確認しています。
較差(検測結果 − 前回の観測高低差)を、許容範囲 2.5mm√S(Sは片道距離km)と比べます。
| 路線 | 較差 | 許容 2.5√S | 判定 |
|---|---|---|---|
| A→P(S=4.00) | 0.6mm | 2.5√4=5.0mm | 範囲内 |
| B→Q(S=3.24) | 4.6mm | 2.5√3.24=4.5mm | 超過 |
| B→R(S=5.76) | 4.8mm | 2.5√5.76=6.0mm | 範囲内 |
√の中が平方数(3.24=1.8²、5.76=2.4²)になっているので、√3.24=1.8、√5.76=2.4と暗算できます(電卓の工夫)。B→Qだけ較差4.6mm>許容4.5mmで超過、と判定します。
環(ループ)を一周した高低差の合計が、許容 2mm√S 内かを見ます。
A→S→T→A = (+5.4029)+(−2.8022)+(−2.5983)=+0.0024m=2.4mm(距離計7.00km、許容2√7≒5.3mm → 範囲内)。
B→S→T→B = (−2.6027)+(−2.8022)+(+5.4012)=−0.0037m=−3.7mm(同・範囲内)。
ここが山場です。網平均計算と同じで、観測方程式を立て、重みをかけて最小二乗で最確値を求めます。
ステップ1:観測方程式 各路線の残差Vを、新点S・Tの仮定標高の補正量XS・XTで表します(アは+0.0029、イは+0.0012)。
V₁=XS−0.0029 V₂=−XS−0.0027 V₃=−XT−0.0012
V₄=−XS+XT+0.0022 V₅=XT+0.0017
ステップ2:重み(距離の逆数) 重み P=1/S。距離1.00km→1.00(エ)、2.00km→0.50(ウ)、4.00km→0.25(オ)。距離が短い路線ほど重く扱います。
ステップ3:正規方程式 重みをかけて未知数XS・XTの連立式を作ります。
1.75(キ)XS − 0.25 XT = 0.0021
− 0.25 XS + 1.75(ク)XT = −0.0026(カ)
ステップ4:解く この連立を解くと、XS=0.0010(ケ)(XT=−0.0013)。
ステップ5:標高 仮定標高に補正量を足します。S点の仮定標高15.4000mに0.0010mを足して、
S点の標高(コ)=15.4000+0.0010=15.4010m(T点=12.6000−0.0013=12.5987m)。
これは、まさに網平均計算(観測値のズレを最小二乗でならして最確値を決める)を水準測量でやったものです。重みが距離の逆数、というのがポイントです。
重みを距離そのものにするのが定番のミスです。重みは距離の逆数(1/S)。距離が短い=精度が良い=重い、が正しい向きです。
D-1の較差点検では、√3.24や√5.76を平方数と気づいて暗算すると速い(1.8²・2.4²)。電卓は桁が限られるので、この工夫が効きます。
観測方程式の符号(XS・XTの係数、定数項の+−)を取り違えないこと。路線の向き(どちらからどちらへ)で符号が決まります。
令和元年 午後 No.2の問Dは、水準測量の点検(較差・環閉合差)と、最小二乗(網平均)による標高決定です。較差は2.5mm√S、環閉合差は2mm√Sで点検し、標高は「観測方程式 → 重み1/S → 正規方程式 → 補正量 → 標高」の流れで、S点15.4010mと求まります。
網平均や重み付き平均があいまいな人は、先に網平均計算の記事で最小二乗の考え方を固めてから、この過去問で流れをなぞると効きます。
水準の網平均計算は、独学だと式の立て方でつまずきやすいところです。体系立てて学びたいときは、通信講座のサンプル講義で解説の雰囲気を確かめる手もあります。
料金・特典・講座内容は公式で要確認。
参考(確認日:2026年7月10日)
※ この記事の確認日:2026年7月
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答え(先に確認)
D-1 A→P=0.6mm(許容5.0mm・範囲内)/B→Q=4.6mm(許容4.5mm・超過)/B→R=4.8mm(許容6.0mm・範囲内)
D-2 A→S→T→A=2.4mm、B→S→T→B=3.7mm(いずれも許容約5.3mm内)
D-3 ア=0.0029/イ=0.0012/ウ=0.50/エ=1.00/オ=0.25/カ=−0.0026/キ=1.75/ク=1.75/ケ=0.0010/コ=15.4010