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令和3年 午後 No.2(基準点測量)の解説です。この記事では、問B(TS結合多角の記述)と問C(GNSS基準点測量)を扱います。問Cのハイライトは問C-4で、地心直交座標をセミ・ダイナミック補正で今期座標に直し、基線ベクトルの閉合差をN・E・U成分で点検する計算です。
公共測量の基準点測量を、トータルステーション(TS)による結合多角方式で実施する。次の各問に答える。
問B-1 基準点測量は1〜4級に区分されるが、その区分の基準は何か。「既知点の種類」を例に、ほかに二つ挙げよ。
問B-2 TS観測の点検計算で、点検路線を選定する条件を三つ挙げよ(「なるべく短くする」を除く)。
問B-3 厳密水平網平均計算の結果で、許容範囲を満たしているか確認する項目を二つ挙げよ。
出典:国土地理院ウェブサイト「測量士・測量士補試験の試験問題及び解答例」(令和3年 測量士試験 午後 No.2 問B)。問題文は要約。
作業規程の準則では、基準点測量の1〜4級の区分は、既知点の種類・既知点間の距離・新点間の距離で決まります(準則 第22条)。例が「既知点の種類」なので、答えは残りの既知点間の距離と新点間の距離です。
点検計算の路線の選び方は、準則(第42条)に定められています。「なるべく短くする」以外の条件は次の三つです。
厳密水平網平均計算の結果は、標準偏差で許容範囲を確認します。項目は水平角の単位重量当たりの標準偏差と新点位置の標準偏差の二つです。網平均が「観測のばらつき(標準偏差)」で精度を評価する、という考え方どおりです。
基準点測量を、GNSS測量機を用い、電子基準点のみを既知点として実施する。次の各問に答える(問C-1の観測図の作図は省略)。
問C-2 電子基準点のみを既知点としたGNSS観測の点検計算で、観測値の点検方法を一つ挙げよ(「電子基準点間の結合計算」を除く)。
問C-3 電子基準点のみを既知点とする場合、セミ・ダイナミック補正を行わなければならない理由を述べよ。
問C-4 電子基準点の地心直交座標(元期)と地殻変動補正量が与えられている。今期座標を求め、路線の基線ベクトルから閉合差(ΔN・ΔE・ΔU)を点検計算せよ(ア〜ソ)。
出典:国土地理院ウェブサイト「測量士・測量士補試験の試験問題及び解答例」(令和3年 測量士試験 午後 No.2 問C)。問題文・数表は要約。数値は公表資料で確認しています。
答え(先に確認)
問C-2:異なるセッションの組合せによる最少辺数の多角形を選定し、基線ベクトルの環閉合差を点検する
問C-3:遠方の電子基準点を既知点に用いると、地殻変動によるひずみの影響で、近傍の標石基準点の成果との間に不整合が生じるおそれがあるため
問C-4:閉合差 ΔN=−0.010m/ΔE=−0.010m/ΔU=−0.015m(今期座標・計算値はステップの表)
電子基準点のみを既知点とするGNSS観測の点検は、準則(第42条)で、電子基準点間の結合計算のほかに、次の方法が定められています。
異なるセッションの組合せによる最少辺数の多角形を選定し、基線ベクトルの環閉合差を点検する。
GNSSの点検は、いくつかのセッションでループ(環)を作り、一周して戻ったときのずれ(環閉合差)を見る、というのが基本です。
公式解答例は次のとおりです。
「遠方にある電子基準点を既知点として用いると、地殻変動によるひずみの影響により、近傍の標石基準点から算出された基準点成果との間に不整合が生じるおそれがあるため。」
日本列島は少しずつ動いている(地殻変動)ため、遠くの電子基準点と近くの三角点(標石基準点)では、動いた量が違います。そのまま使うと成果がずれるので、セミ・ダイナミック補正で、みんなを基準の時点(元期)にそろえます。「元期」にそろえる補正だと押さえておきましょう。
ここが計算の山場です。地心直交座標(X・Y・Z)を使い、最後にN・E・U成分の閉合差にします。手順は4ステップです。
ステップ1:今期座標を出す(セミ・ダイナミック補正)
今期座標 = 元期座標 + 地殻変動補正量
たとえば電子基準点のX座標は、−3,988,073.531 +(−0.295)= −3,988,073.826m(ア)。同じようにY・Zも足します。
| 項目 | X(m) | Y(m) | Z(m) |
|---|---|---|---|
| 電子基準点1・今期座標 | −3,988,073.826(ア) | 3,316,735.108(イ) | 3,699,169.224(ウ) |
| 電子基準点3・計算値 (基線ベクトルから) |
−3,999,254.440(エ) | 3,318,092.084(オ) | 3,685,913.985(カ) |
| 電子基準点3・今期座標 | −3,999,254.451(キ) | 3,318,092.080(ク) | 3,685,914.002(ケ) |
ステップ2:計算値を出す 電子基準点1の今期座標に、路線の基線ベクトルの合計を足すと、電子基準点3の「計算値」(エ・オ・カ)になります。
ステップ3:閉合差(ΔX・ΔY・ΔZ) 計算値と、電子基準点3の今期座標(成果)との差が閉合差です。
ΔX = −3,999,254.440 −(−3,999,254.451)= 0.011m(コ)、同様に ΔY=0.004m(サ)、ΔZ=−0.017m(シ)。
ステップ4:N・E・U成分に直す 与えられた変換式(行列)に、閉合差(ΔX・ΔY・ΔZ)を入れます。
ΔN = −0.010m(ス)、ΔE = −0.010m(セ)、ΔU = −0.015m(ソ)
これで、地心直交座標(X・Y・Z)の閉合差を、南北(N)・東西(E)・高さ(U)方向のずれに直せました。このN・E・U成分の閉合差を許容範囲と比べて、観測の良否を判定します。基線ベクトルのN・E・U成分や重み(分散・共分散)はGNSS三次元網平均の記事で整理しています。
問C-4で、今期座標に直さず元期座標のまま計算するのが最大のミスです。まず「元期座標+補正量」で今期座標にそろえてから、閉合差を出します。
閉合差の向きの取り違えにも注意。閉合差=計算値−成果(今期座標)です。ΔN・ΔE・ΔUと、地心直交座標のΔX・ΔY・ΔZを混同しないようにします(最後に変換式でX・Y・Z→N・E・Uに直す)。
記述(問B・問C-3)では、準則の用語をそのまま使うのがコツ。C-3は「地殻変動」「ひずみ」「不整合」「元期」がキーワードです。
令和3年 午後 No.2は基準点測量。問Bは準則の記述(区分の基準・点検路線の条件・厳密網平均の標準偏差)、問CはGNSSで、C-3のセミ・ダイナミック補正(地殻変動を元期にそろえる)と、C-4の閉合差の点検計算が山場です。C-4は「今期座標にする → 基線ベクトルで計算値 → 閉合差ΔX・ΔY・ΔZ → 変換式でΔN・ΔE・ΔU」の4ステップで解けます。
用語や座標系があいまいな人は、先に用語解説で固めてから、この過去問で流れをなぞると効きます。
基準点測量の計算や記述は、独学だと流れをつかみにくいところです。体系立てて学びたいときは、通信講座のサンプル講義で解説の雰囲気を確かめる手もあります。
料金・特典・講座内容は公式で要確認。
参考(確認日:2026年7月10日)
※ この記事の確認日:2026年7月
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答え(先に確認)
問B-1:既知点間の距離/新点間の距離
問B-2:①点検路線は既知点と既知点を結合させる/②すべての既知点を1つ以上の点検路線で結合させる/③すべての単位多角形について、路線の1つ以上を点検路線と重複させる
問B-3:水平角の単位重量当たりの標準偏差/新点位置の標準偏差