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平成30年 午後 No.3は、地形測量・写真測量の総合問題です。この記事では計算の2つの山場、問A-2(スキャンした既成図を平面直角座標系に合わせる相似変換の観測方程式)と、問B(デジタル航空カメラの撮影計画=撮影範囲・コース数・枚数・撮影高度の計算)を扱います。問A-1(資料の選定)・問C(航空レーザ測量)は記述・用語なので割愛します。
スキャンした既成図(宅地造成地の図郭四隅A・B・C・D)を、平面直角座標系の数値地形図に位置合わせする。四隅の平面直角座標系の値(X, Y)と、ソフト上で計測した座標(x, y)が与えられる。次の変換式で位置合わせし、変換係数a・b・c・dを最小二乗法で求めるための観測方程式(式3-2)の空欄ア〜カに入る整数を答える。
変換式(式3-1):X=−ax+by+c / Y=bx+ay+d (X・Yは既成図の平面直角座標、x・yはソフト上の座標)
計測座標:A(x=5,998, y=3,996)/B(x=5, y=4,001)/C(x=0, y=0)/D(x=5,998, y=−2)
出典:国土地理院ウェブサイト「測量士・測量士補試験の試験問題及び解答例」(平成30年 測量士試験 午後 No.3 問A-2)。問題文・数式は要約。数値は公表資料で確認しています。
この変換式は相似変換(ヘルメルト変換)です。a・bで回転と拡大縮小、c・dで平行移動を表し、係数は4つ(a・b・c・d)。図を回して・伸ばして・ずらして、既成図をぴたりと平面直角座標系に重ねる操作です。
四隅A〜Dの4点があるので、X座標・Y座標で合わせて8本の式ができます。未知数は4つなので式が余ります。そこで最小二乗法で、ズレ(残差V)が最小になるa・b・c・dを求めます。
観測方程式の形 X座標の残差の式は、変換式の右辺から実際の値Xを引いたものです。
ViX = (−xi)・a + (yi)・b + c − Xi
つまりaの係数は「−x」、bの係数は「y」。空欄ア〜カは、各点のこの係数(測定座標に符号をつけただけ)を書くだけです。
| 点 | 測定座標(x, y) | aの係数(−x) | bの係数(y) |
|---|---|---|---|
| A | (5,998, 3,996) | −5,998(ア) | 3,996(イ) |
| B | (5, 4,001) | −5(ウ) | 4,001(エ) |
| D | (5,998, −2) | −5,998(オ) | −2(カ) |
ポイントは、変換式の形(Xの式でaの前がマイナスのx、bの前がy)を読み取れば、あとは代入するだけだと気づくこと。難しい計算ではなく、相似変換の式の構造を理解しているかを問う問題です。
K市(東西21km・南北14km・平たん)で、デジタル航空カメラによる鉛直空中写真を撮影する。撮影条件:画面距離10cm、画面14,430画素×9,420画素、素子寸法7.2μm、地上画素寸法(GSD)20cm、撮影基準面の標高0m、同一コース内の重複度60%・隣接コース間30%、コースは東西方向、短辺が撮影基線と平行。
B-1 電子基準点との基線距離は原則何km以内か。B-2 1枚の撮影範囲。B-3 最少撮影コース数。B-4 最少撮影枚数。B-5 撮影高度。
答え(先に確認)
B-1 50km B-2 2,886m × 1,884m B-3 8コース B-4 248枚 B-5 2,778m
B-1(基線距離) GNSS/IMUのキネマティック解析で電子基準点を固定局にする場合、基線距離は原則50km以内(作業規程の準則)。これは覚えておく数字です。
B-2(撮影範囲) 1枚の撮影範囲=画素数 × 地上画素寸法(GSD)。
14,430画素 × 0.20m = 2,886m / 9,420画素 × 0.20m = 1,884m
短辺(9,420画素=1,884m)が撮影基線=飛行方向(東西)と平行。つまり東西方向が1,884m、南北方向が2,886mを1枚が受け持ちます。
B-3(コース数) コースは東西方向で、南北に並びます。コースの間隔=南北サイズ×(1−隣接重複30%)=2,886×0.70=2,020.2m。南北14,000mを覆い、両端は区域外まで撮るので、8コースになります。
B-4(枚数) 同一コース内の写真間隔(撮影基線長)=東西サイズ×(1−重複60%)=1,884×0.40=753.6m。東西21,000mを覆う枚数+両端の余分で1コース31枚、これを8コースぶんで、31×8=248枚。
B-5(撮影高度) 撮影高度=画面距離 × 縮尺分母。縮尺分母=GSD÷素子寸法。
縮尺分母 = 0.20m ÷ 0.0000072m = 27,778
撮影高度 = 0.10m × 27,778 = 2,778m
撮影基準面の標高が0mなので、この2,778mがそのまま撮影高度(対地高度)です。UAVの撮影計画(令和3年 No.3)と流れは同じで、GSDと素子寸法から縮尺分母を出すのが共通の芯です。
問A-2で観測方程式を難しく考えすぎるのが定番のミスです。変換式 X=−ax+by+c の形さえ読めば、aの係数は−x、bの係数はyと決まります。ゼロから計算するのではなく、式の構造を代入するだけです。
問Bでは、重複度の使い分けを間違えないこと。同一コース内(進行方向)は60%→写真間隔に、隣接コース間は30%→コース間隔に使います。縦と横で重複度が違います。
撮影高度は「画面距離×縮尺分母」。縮尺分母は「GSD÷素子寸法」で、単位をmにそろえて計算します(素子寸法7.2μm=0.0000072m)。
平成30年 午後 No.3は、問A-2が相似変換(ヘルメルト変換)の観測方程式、問Bが空中写真の撮影計画です。問A-2は「変換式の形→係数は−xとy」を読み取れば代入だけ。問Bは「撮影範囲=画素数×GSD」「撮影高度=画面距離×縮尺分母(=GSD÷素子寸法)」が芯で、撮影範囲2,886m×1,884m・8コース・248枚・撮影高度2,778mと求まります。
座標変換や最小二乗があいまいな人は、先に網平均計算の記事で最小二乗の考え方を、撮影計画はUAV撮影計画の過去問で流れを固めると整理できます。
写真測量の撮影計画や座標変換は、独学だと式の意味でつまずきやすいところです。体系立てて学びたいときは、通信講座のサンプル講義で解説の流れを確かめる手もあります。
料金・特典・講座内容は公式で要確認。
参考(確認日:2026年7月10日)
※ この記事の確認日:2026年7月
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答え(先に確認)
A-2 ア=−5,998/イ=3,996/ウ=−5/エ=4,001/オ=−5,998/カ=−2